大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(あ)1859 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人竹内梅治郎の上告趣意について。

所論は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条所定の適法な上告理由に該当しな

い。

職権をもつて記録を調べると、被告人は本件犯行当時その日の食にも窮する程の

生活状態であつたことが認められ、そしてそれは必らずしも被告人が怠惰であつた

ためのみでそこまで落ち込んだというわけではないようであり、また妻とのいざこ

ざも被告人のみが悪いわけではなく、妻にもその責任があるように考えられる。し

かして前示の事情に照して、被告人が被害者A方で窃盗をしようとするに至つたと

ころまでは同情すべき点があるのであるが、しかし何んとしても盗犯のため貴重な

人命の二人を殺害し、一人に瀕死の重傷を負わせた重大なる行為、そして鑑定人B

の鑑定の結果によれば「被告人は分裂性気質の特徴を持つているが、異常性格者と

云える程極端な偏倚はない。犯行時の被告人の精神状態には感情的興奮はあつたと

思惟されるが、精神病的状態にはなく、正常心理の範囲内のものであつたと推論す

る。」とあつて、その犯情極刑もまたまことにやむを得ないものであることが認め

られる。すなわち本件に刑訴四一一条二号を適用し、第一審死刑の量刑及びこれを

是認した原審判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

主文のとおり決定する。

昭和三一年一二月二一日

最高裁判所第二小法廷

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裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官谷村唯一郎は退官につき記名押印することができない。

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

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